「人型ロボット」の普及はどこまで進む? 2060年には推定30億台の可能性も

こんにちは。

綾部です。

皆さんは「家庭にロボットがいる生活」を想像したことはありますか?

掃除や料理、介護や子育てまで人間の代わりにこなしてくれる頼もしい存在、そんな未来の話は、かつては映画やアニメの中の出来事だったと思います。

ですが、今やその「未来」が少しずつ現実味を帯びてきていますね。

今回ご紹介するのは、「人型ロボット(ヒューマノイド)」に関してです。

バンク・オブ・アメリカの発表によれば、2060年までに人型ロボットの出荷台数はなんと30億台に達する可能性があるとのこと。

その見通しや背景、そして乗り越えるべき課題について、整理したいと思います。

「2060年、30億台」──現実味を帯びてきたロボット社会

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バンク・オブ・アメリカが2025年4月に発表したレポートによれば、ヒューマノイドの商用普及は2028年から本格化し、2030年までには年間100万台に達する見込みです。

参照:人型ロボの普及は2028年から、2060年までに推定30億台 バンカメ予測(2025年5月10日時点)

1台あたりの製造コストは1万7000ドル(約245万円)にまで低下するという予測も出ています。

また、ヒューマノイドの普及は3段階にわたって進むとされています。

まずは物流・産業分野から、次にビジネスやサービス領域へ、そして最終的には家庭向けへと展開していくとのこと。

とくに注目すべきは、2060年までに出荷される30億台のうち、約20億台が家庭向けに導入されるという予測です。

これは、ヒューマノイドが単なる工場や企業のアシスタントにとどまらず、私たちの日常生活に深く入り込むことを意味しているそうです。

未来学者ピーター・ディアマンディス氏は、家事から介護、さらにはエンタメまで、生活のあらゆる場面に人型ロボットが活躍すると予測しており、その兆しはすでに現れ始めています。

実現には「器用な手」と「強いAI」がカギに

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また、30億台という数字を実現するにはいくつもの課題が残っています。

第一に必要なのが、「人と自然にやりとりできるAI」とのことです。

現段階では、感情や意図を理解して的確に反応するには限界があり、リアルタイムで人と会話するにはさらなる技術の進歩が求められます。

次に、身体的な面での大きなハードルは「器用な手」の開発です。現在、ヒューマノイドの製造コストの約20%が「手」の部分に集中しており、それだけ精緻な設計と動作が求められているということです。

さらに、AIの精度向上には「現実世界のデータ」、つまり実際の生活や環境の中で得られる学習素材が不可欠とのことです。

これを収集し、瞬時に処理するためには、クラウド任せではなく端末側での処理能力を高める必要もあります。

そのほかに、デザインの最適化、大量生産体制、そして規制や社会受容性といった要素も、今後の普及を左右するカギとなってくると言われています。

すでに私たちの身の回りでは、ロボット掃除機や対話型AIが一般的になりつつあります。

そう考えると、人型ロボットが家庭にいて、毎日の暮らしを手伝ってくれる日は、案外すぐそこまで来ているのかもしれませんね。