こんにちは。
綾部です。
皆さんは最近、「リスキリング」という言葉を耳にする機会、増えていませんか。
リスキリングとは、簡単に言うと「新しいスキルを学び直すこと」です。
特に最近では、デジタル分野の知識や技術を習得していこうという動きが活発になっています。
働き方が変わり、テクノロジーが私たちの身の回りにどんどん入り込んできている今、「新しいスキルを身につけたい」「でも何から始めたらいいのか分からない」と思う人も多いかもしれません。
そんな中、大手企業が続々とリスキリング支援に本腰を入れ始めています。
今回はその一つ、トヨタ自動車の事例をもとに、どんな取り組みがなされているのか、そしてそれがどんな効果を生んでいるのかを紹介していきたいと思います。
学び直しを応援する仕組みづくり

トヨタ自動車が導入したのは、パーソルイノベーション社が提供する「Reskilling Camp」というリスキリング支援サービスで、目的はデジタルスキルを持つ「デジタル人財」の育成です。
参照:トヨタ自動車、リスキリング支援サービスでデジタル人材育成を加速(2025年3月18日時点)
このプログラムは、単なる座学ではなく、2つの段階を通じて実践的に学ぶのが特徴です。
まず「ハンズオン」フェーズでは、業務自動化ツールの活用や生成AIの基礎を体験的に学習。
続く「ハッカソン」では、チームでアプリを開発し、成果を発表するという流れです。
さらに注目したいのが「コーチングプログラム」の存在で、受講者一人ひとりのモチベーション維持を大切にし、学びを深めるサポート体制が整えられています。
こうした手厚い仕組みにより、受講者たちは新しい技術を学びながら、チームでの対話や協働も経験できるそうです。
個人のスキル向上だけでなく、チーム全体の問題解決力や自走力を育てることにもつながっているというわけですね。
デジタル文化を育む “チャレンジの機会”
リスキリングの取り組みの効果は、受講者だけにとどまりません。
トヨタ自動車 田原工場エンジン製造部では、今回の導入について「個人の成長と組織のデジタル文化を育てる一歩」と位置づけています。
その背景には、「人の考える力を尊重すること」、そして「みんなが知恵を出し合い、チャレンジできる場をつくること」が人材育成において重要だという考えがあるそうです。
たとえば、普段の業務ではなかなか見つけにくい「小さな工夫」や「現場の課題」にも、リスキリングを通じて改めて目を向ける機会が生まれています。
また、カリキュラムの柔軟性にも注目が集まっています。
「やってみたい」と思えるきっかけが用意されていること、「学んだことを定着させる工夫」があること、この2つをしっかり支えてくれるのが、Reskilling Campの特徴のようです。
実際、受講を通して自信を得た参加者が、同僚に学びの楽しさを共有したり、自主的に改善案を提案するようになったという声も上がっているそうです。
「デジタル人財を育てる」と聞くと、少し難しそうに感じるかもしれませんが、今回のような事例を見てみると、実は“身近な仕事”や“チームの対話”が出発点になっています。
リスキリングは、個人の成長だけでなく、現場のちょっとした変化を後押しするきっかけにもなります。
学び直しの一歩を応援する仕組みが、会社の文化や風土に少しずつ広がっていく、そんな世の中がこれからも増えていきそうですね。