マントルと核のはざまから貴金属が地表へ!火山活動が明かす地球内部の動き

こんにちは。

綾部です。

金やルテニウムといった貴金属が、どこからやってくるかを考えたことはありますか?

一般的には鉱山や鉱床で採れるものというイメージがあるかもしれませんが、実はそれらの起源は地球の“奥底”にある可能性があります。

特に今回紹介する研究では、地球の「核」から「マントル」を経由し、火山を通じて「地表」にまで運ばれているかもしれないという結果が報告されています。

この発見は地球の構造や成り立ちを考える上で、興味深い視点になると思い、紹介いたします。

ハワイの溶岩から見つかった異常なルテニウム同位体

今回紹介するのは、ゲオルク・アウグスト大学ゲッティンゲンの研究チームによる調査結果です。

参照:地球の核に眠る「金」がマントルに流れ出している(2025年5月29日時点)

研究チームはハワイの火山島から採取した玄武岩を分析し、そこに「ルテニウム100」という珍しい同位体が通常よりも高い濃度で含まれていることを確認したとのことです。

このルテニウム100は、マントルよりもさらに深い場所、つまり地球の「核」に多く含まれているとされており、この結果は核から物質がマントルを通じて地表にまで運ばれてきた可能性を示す証拠になるそうですね。

研究チームのNils Messling氏は、大学のプレスリリースで「私たちのデータは、金や他の貴金属を含む核由来の物質が、地球のマントルに漏れ出ていることを示しています」と述べています。

超高精度の同位体分析が可能にした核と地表のつながり

これまでにも一部の火山岩に核由来の物質が含まれているという報告はありましたが、そのルートや規模については不明でした。

今回の研究では、ゲッティンゲン大学のチームが開発した超高精度の同位体分析法を用いることで、従来では検出が難しかったルテニウム同位体の違いを識別できるようになったそうです。

この手法により、地下約2,900kmにある「コア・マントル境界」からマントルを経て、ハワイのような火山島に至るまでの物質移動が示唆されたとのことです。

また、数百京トンにも及ぶ高温のマントル物質が上昇する中で、貴金属を含んだ物質も一緒に運ばれてくるという考え方が注目されています。

地球の核は、これまで「孤立した存在」として考えられていた面がありましたが、今回の研究によって、核とマントル、さらには地表との間に動的なつながりがある可能性が強調されました。

また、表面に存在する貴金属の一部がこうした深部から供給されているとすれば、鉱物資源の成り立ちを見直す契機にもなりそうです。

今後は、アイスランドや日本といった火山活動が活発な地域でも同様の研究が進めば、地球内部のメカニズムについてさらに詳細な理解が進むことも期待できますね。