こんにちは。
綾部です。
最近、街中でもドローンを見かける機会が増えてきましたよね。
配送、撮影、農業など用途はさまざまですが、実は今、「測量」の分野でもドローンの存在感が高まっているようです。
特に、精密な地形データを取得できるLiDAR(ライダー)という技術と、レベル4飛行に対応した大型ドローンの登場により、これまで難しかった場所の地図作成や構造物の確認がぐっと身近になってきているようです。
今回はそんなドローンとLiDARによる測量分野の最新動向を紹介します。
古代文明を「見える化」するLiDARの力
LiDAR(Light Detection and Ranging)は、レーザー光を使って対象までの距離を計測し、3Dの地形や構造物を再現する技術です。
上空から地形をスキャンすることで、森林の下に埋もれていた遺跡や建造物まで明らかにすることができるため、特に考古学の分野で注目を集めてきました。
最近では、メキシコ・カンペチェ州での調査が話題になりました。
研究チームが過去のLiDARデータを解析した結果、これまで知られていなかったマヤ文明の都市遺跡を多数発見。
中には、かつて3万人〜5万人が暮らしていた可能性のある大都市も含まれていたそうです。
この調査の面白いところは、最初のきっかけが「Google検索の16ページ目に出てきたデータ」だったという点。
ネット上に公開されていた情報をもとにして、地図にも載っていなかった都市の存在が明らかになったということで、LiDARとデータ活用の可能性を改めて感じさせる事例となりました。
都市でも測量ができる?進化する大型ドローン

2025年6月に開催されたドローン展示会「Japan Drone 2025」では、都市測量にも対応する大型ドローン「PD6B-CAT3」が初公開されました。
最大離陸重量は45kg、搭載可能重量は18kgで、物流だけでなく測量用の機材も積載できるのが特徴です。
開発を手がけたProdrone社は、機体の製造をJALエンジニアリングと連携しながら進めており、国の第一種型式認証を目指して耐久試験などを重ねているとのこと。
都市部でのレベル4飛行(目視外・有人地帯での飛行)を視野に入れた機体として、今後の実用化が期待されています。
PD6B-CAT3の面白い点は、機体下部のパーツを用途に応じて変更できるモジュール構造になっているところ。
物流用のカーゴボックスから、測量用のLiDARスキャナー、さらには放送用のカメラまで取り付けられる仕様になっていて、さまざまなニーズに対応できるようです。
また、飛行中に異常が起きた場合には、自動でパラシュートが展開される機構を備えているなど、安全面にも配慮されています。
都市部での飛行を実現するには厳しい基準をクリアする必要がありますが、担当者によると、2025年秋には認証取得を目指しているとのことでした。
ドローンとLiDARの組み合わせは、これまで人の手では届きにくかった領域の「見える化」を加速しています。
古代遺跡の発見にとどまらず、都市のインフラ管理や地形測量など、さまざまな分野での活用が広がりつつあります。
「上空から地面の姿を描く」というこの新しい測量のかたちは、地上を理解する視点そのものを変えるかもしれませんね。