宇宙の謎を数式として吐き出し続ける生成AIが誕生。AIと基礎科学の新しい関係

こんにちは。

綾部です。

最近、「AIが新しい素材を発見した」といった応用分野でのニュースだけでなく、ついに私たちの宇宙の根本的な謎にAIが挑み始めたという、ロマンを感じさせる話題も増えてきました。

物理を学んでいたこともあって、私は昔から宇宙の法則や数式といった言葉にロマンを感じていましたが、理論物理学者の仕事のように思われていた分野にも、AIの力が及び始めているようです。

今回は、そんな基礎科学とAIの融合に関する最新の動きをご紹介します。

宇宙の謎の解明へ─ 清華大学が開発した新AI「PhyE2E」

中国の清華大学(Tsinghua University)を中心とする研究チームが、AIに宇宙の謎を解かせるという驚くべき成果を発表しました。

参照:宇宙の謎を数式として吐き出し続ける生成AIが誕生――対人類用「わかりやすさモード」搭載(2025年10月27日時点)

チームが開発したのは、「PhyE2E(フィジー・エンドツーエンド)」と名付けられた新しい人工知能システムです。

このAIの最大のポイントは、その学習能力と対象です。PhyE2Eは、宇宙で観測されたさまざまなデータを学習します。

そして、その学習に基づき、観測データとして現れたその背後にあるものを探り出す役割を担っています。

これまで、宇宙物理学における理論の構築は、人間の卓越した直感と数理的な能力に頼る部分が大きかったですが、このPhyE2Eの登場は、観測データから直接、法則や真理を導き出す新しい科学探求の方法を示しているといえるでしょう。

AIがもたらす科学の世界観の変化

もしAIが、人間が見落としていた、あるいは想像もつかなかった宇宙の法則を数式として提示できるならば、科学の世界観は大きく変わります。

もちろん、この技術がすぐに私たちの日常生活に影響を与えるわけではありません。

しかし、PhyE2Eのように、AIが複雑な観測データからその背後にある本質的な謎を学習し、解明に挑むという流れは、基礎科学における「発見のスピード」を劇的に加速させる可能性を秘めています。

量子コンピューターの実機検証が進むように、基礎物理学の分野においても、AIの活用は理論と現実の距離を縮め、私たちがまだ知り得ない宇宙の真実にたどり着くための大きな一歩となるのかもしれませんね。