こんにちは。
綾部です。
近ごろ、展示会やイベントで動くロボットを見かけることが増えてきたと思いませんか?
「人のように動く」「言葉を話す」そんなロボットが現実に目の前で接客してくれる様子を見て、「とうとう未来が来た!」と感じた方も多いかもしれません。
なかでも「ヒューマノイド」と呼ばれる、人の姿に近いロボットは、ただの機械ではなく“パートナー”や“スタッフ”としての役割を果たす段階に入ってきました。
今回は、そんなヒューマノイドロボットに関わる最新のプロジェクトを2つ紹介しながら、私たちの暮らしにどんな変化をもたらすのか触れていきたいと思います。
会話するロボットが現場に登場、「G1」派遣プロジェクト始動。国内初の“会話できる”ヒューマノイドが働き始める。

2025年9月、GMO AIRとPeopleXという2社が手を組み、新しいヒューマノイドロボット派遣サービス「G1」の提供を開始しました。
参照:GMO AIR・PeopleXが協業、国内初のAI対話搭載ヒューマノイドロボット派遣サービス「G1」スタート(2025年9月2日時点)
PeopleXが開発したAI対話モデル「Conversation AI」を搭載しており、まるで人と話しているような自然な会話が可能とのことです。
これまでロボットとのコミュニケーションといえば、一方通行の決められた応答が中心でしたが、G1は
相手の声のトーンや身振り手振りも認識し、文脈に合った受け答えができるとのことです。
このサービスの特徴は、「派遣型」で、イベントや展示会、接客現場に期間限定でヒューマノイドを導入できるため、設備を常設する必要もなく、企業側も気軽に活用できるそうです。
実際に、2025年8月に開催されたブロックチェーン関連イベントでは、G1が来場者の案内を担当。来場者からは「会話が自然で驚いた」という声も多く寄せられたそうです。
このプロジェクトの背景には、日本社会の課題である少子高齢化と人手不足があります。
特にサービス業やイベント運営の分野では慢性的な人材不足が続いており、人間の代替としてロボットが注目されてきました。
G1のようなヒューマノイドがその現場に入り込むことで、単なる省力化にとどまらず、顧客体験の向上にもつながる可能性があります。
今後は、ホテルや小売、エンターテインメントの現場など、幅広い分野での導入が見込まれており、プロジェクトはすでに次の展開に向けて動き始めています。
世界が注目する「ヒューマノイド」開発競争、日米中の最前線。動きはリアル、人間と共に働くロボットへ。

グローバルな視点で見ると、ヒューマノイドロボットの開発は一層加速しています。
参照:「ヒューマノイドロボット」日米中の最前線を取材 投資熱が膨らむ理由とは?(2025年9月4日時点)
アメリカ・オレゴン州に拠点を置くアジリティ・ロボティクス社は、身長175cmのロボット「ディジット」を開発。
倉庫や工場で荷物を運ぶために設計されており、最大16kgの荷物を持ち上げる力を持っています。
このロボットの大きな特徴は、AIによる自律的な動きが可能な点で、状況に応じて自分でバランスを取り、複雑な環境でも柔軟に対応できるそうです。
また、新興企業のkスケールラボズでは、開発中の「Kボット」をすでに150件以上受注。
設計情報をオープンにすることで、世界中の開発者から意見を集めながら製品を改良するという“協働型”の開発スタイルを採用しています。
AIソフトにより、Kボットは押されても自ら体勢を立て直すことができ、バランス制御において高い性能を発揮しているそうです。
中国もまたヒューマノイド開発に力を入れており、政府が資金提供を行いながら、国家規模での導入を進めています。
労働力不足という点では日本と同じ課題を抱えており、導入のスピード感はむしろ日本より早いかもしれません。
日本国内でも、千葉工業大学が独自に開発を進めており、特に「四足歩行ロボット」の技術をヒューマノイドに応用する研究が進行中だそうです。
仮想空間での進化学習により、AIに「体の使い方」を覚えさせるというユニークな手法で、フィジカルAIと呼ばれる新しい概念も生まれつつあるようです。
ヒューマノイドロボットの進化は、すでに実験室や研究所の話ではなくなりつつありますね。
GMO AIRとPeopleXによる「G1」派遣プロジェクトは、日本における実用化の大きな一歩を示しましたし、アメリカ・中国では現場投入が本格的に始まっています。
共通しているのは、AIとの融合によってロボットが「動く」だけでなく「考え、対話する」存在になりつつあるという点です。
今後、ヒューマノイドロボットは、人と同じ空間で働き、接客し、助け合う存在として、日常の中に自然に溶け込んでいくかもしれませんね。