身体は不自由?バーチャルやアバターで広がる人の感覚や感性

​こんにちは、遠野です。​​

最近、映画やアニメをよく観るようになってきました。
表現が多彩で、実写じゃなかなか創り出せない映像が見られるのは面白いですね。

久々に、数年前の3DCGアニメーション映画『楽園追放 -Expelled from Paradise-』を鑑賞しました。
西暦2400年、電脳世界に生きる生身の身体を持たない少女が主人公の、アバターやバーチャルなどの未来技術が一般化された近未来の世界での物語です。

作中では、人類の98%は地上と自らの肉体を捨て、データとなって電脳世界「ディーヴァ」で暮らしています。

生身の人間と、データ上の人間と、意思を持つロボットの三つ巴の物語で、非常に面白く興奮した映画でした。

技術が進歩しきった先の人間は何者になっていくのか、想像できる近未来を越えた世界の一端を、映画を通じて感じ取ったような印象でした。

映画好きで有名な実業家の嶋村吉洋さんから、映画を始め、こうした未来技術や最先端技術についてもよくお話を伺う機会があります。

近年嶋村さんは、ドローンやロボティクスなど未来技術に関しての投資もされており、また主催されているソーシャルビジネスコミュニティ「ワクセル」でも、最先端技術に関するコラボレーターも多数所属しているなど、テクノロジー関連は特に注目されている分野のようです。

『楽園追放 -Expelled from Paradise-』を例に挙げると、特にアバターやバーチャルの世界についての発展は今後より一層加速していくことが考えられます。

「身体という不自由なものでよく生きているなぁ」と主人公が感じながら、いろんな感覚や感性を磨く冒険に出ています。

生身の身体とは、果たして不自由なものなのでしょうか。

これは、そう遠くない未来の話かもしれません。

アバターやバーチャルの市場は拡大している

​「アバター」とは、化身、具現、権化などの意味を持つ言葉で、ネット上の自分自身の分身を表すキャラクターの名称です。

自分で自由にカスタマイズが可能で、顔や服装、場所など仮想空間だからこそできる自由度が魅力です。

VRChatというプラットフォーム上では、数千にも及ぶアバターに関する商品が販売されています。
BOOTHVRChat アバター

VR世界なので形がない商品にすぎないのにも関わらず、まるで現実世界の衣服のような金額設定になっています。

今こうした商品が売っている「バーチャルマーケット」と呼ばれる市場が拡大の一途をたどっています。
『拡大を続けるVR世界。リアルとバーチャルの間に見えてきた、新たな市場の可能性とは』

リアルとバーチャルが重なる部分に、新しい価値が誕生してくる。
可能性はまだまだ広がり始めたばかりのようです。

現在、アバターといってイメージするのはデフォルメされたポップな人の姿です。
これが技術の発展によりいよいよ本物の人間と同じように我々の目に映るようになったとき、それでもリアルの服にお金をかけるのでしょうか。

それとも、VRの世界の商品の方にお金をかけることになっていくのでしょうか。

リアルとバーチャルの境目がわからなくなるほどの技術革新が起こったとき、人は何に価値を感じ、何を良いと思い、何にお金を使っていくことになるのか……まだまだ想像できない未来が待っています。

一瞬で着替えられて、一瞬で買い物が済んで、そうやって理想の自分自身を創り上げられるのだとしたら。
確かに「身体」という箱は不自由に感じるようになってくるかもしれません。

変わっていく人の感性

​自分自身の身体や感覚が現実だけのものでなくなったら、きっと人の感性や文化も大きく変遷していくことでしょう。

物質的な物の価値が薄れていくことは想像に難くありません。
形のないアバターの服や施設がVRの世界で売買されているような時代です。

人が価値を感じる物差しは、生きていく世界が変わるにつれ変化していきます。

生身の身体に縛られなくなったら、人は自由に顔や体型を選ぶことができ、アバターとして生きる世界が当たり前になってくると、国籍や人種、性別、年齢なども関係なくなってくることも考えられます。

そのときに、本当に価値のあるものは何なのでしょうか。
高級な車だから、高層階に住んでいるから、そういったリアルの世界での価値は、果たしてその頃の世界で通用するでしょうか。

価値の基準は、好みかどうかに変わってくるかもしれません。

河原でやっている草野球のホームランボールより、メジャーリーグの舞台で飛んできた大谷翔平のホームランボールの方が、野球少年にとっては価値があります。
野球に一切興味のない子どもからしたら、価値はないでしょう。
赤ちゃんからしたら、目の前のお母さんのご飯の方がよっぽど価値があります。

そうした「自分の好み」が価値の基準に変わっていく、バーチャルの世界の発展でより顕著に表層化することも考えられます。

NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)という技術も出てきました。
NFTとは何かを基礎から徹底解説、なぜデジタルデータに数億円の価値が付くのか?

デジタルの世界ですら、世界でただ一つという証が付くようになってきました。

一昔前は、そんな形にもならないものにお金を出してどうするんだ、と思われていたでしょう。
それが今や、リアルの世界に形が残るということが価値に直結しない世界に変遷しつつあります。

生身の身体が不自由だと感じるようになったとき、きっと人に新たな価値観、感性が生まれていることでしょう。

今後の業界の動きも大注目の分野です。