こんにちは。
綾部です。
天気予報アプリで位置情報を確認したり、地図アプリで目的地を調べたり。
今や日常に欠かせない存在となっている「位置情報サービス」ですが、その精度を支えているのが、頭上に飛ぶ多数の人工衛星たちです。
特に近年、日本独自の測位衛星「みちびき」が注目を集めており、これに対応するロケットの存在も見逃せません。
その名も「H3ロケット」。JAXAが主導して開発を進めているこのロケットは、日本の宇宙輸送の主力として、すでに着実な成果を重ねています。
今回は、H3ロケットと「みちびき」衛星の最新の動き、そして今後の技術的展望についてご紹介します。
「みちびき6号機」搭載成功 日本版GPSへの大きな一歩
2025年2月、JAXAは種子島宇宙センターからH3ロケット5号機を打ち上げ、「みちびき6号機」の分離に成功したそうです。
「みちびき」は、日本の上空を通る準天頂軌道に衛星を配置することで、山間部や高層ビルの多い都市部でも安定した測位を実現することを目指したプロジェクト。
アメリカのGPSに完全に依存せずに、より高精度な測位ネットワークを構築することを目指しているのだとか。
現在、7機体制での運用を目指しており、6号機はその一環。これにより、常時4機が日本上空に滞在する仕組みが整ってきたとのことです。
位置情報の精度が上がれば、災害対応や農業、インフラ整備、自動運転といった分野での応用も期待されています。
ちなみに、搭載されたH3ロケット5号機は、先行する「H-IIAロケット」に代わる次世代の主力機として開発されたもの。
打ち上げコストの低減や柔軟な運用性に特徴があるそうです。
次は「30形態」へ H3ロケットの新たな可能性とは?

今後の展開として注目されているのが、「H3ロケット6号機」に採用される「30形態」と呼ばれる構成です。
従来のH3ロケットは、第1段にLE-9エンジンを2基搭載していましたが、「30形態」ではこれが3基に増やされます。
これにより、固体ロケットブースターを使わなくても、より重い人工衛星を軌道に送り届けることが可能になるとのこと。
具体的には、太陽同期軌道では4トン以上、静止軌道では6.5トン以上のペイロードに対応できるそうです。
2025年には、この新型エンジン構成の燃焼試験も行われ、25秒間の噴射に成功したという報道もありました。
初めての30形態となる6号機は、性能確認用ペイロード(VEP)を搭載し、太陽同期軌道への投入試験が計画されています。
また、今回のミッションでは、空いたスペースに6基の超小型衛星も同時に搭載される予定。
打ち上げ時の衝撃を軽減する新しい搭載技術も試されるということで、今後の小型衛星ビジネスの広がりにもつながりそうです。
太陽同期軌道は地球観測衛星がよく使う軌道で、一定の時間帯に同じ地域を観測できるため、農業や気象観測、防災分野などでの活用も期待されています。
H3ロケットの運用が本格化し、「みちびき」による日本独自の測位システムも着実に前進している現在。宇宙輸送の安定性と実現力が高まり、衛星の打ち上げや運用の幅が広がってきたようです。
とくに「30形態」への移行によって、柔軟かつ経済的な打ち上げが可能となれば、今後の宇宙開発の選択肢がさらに多様化するかもしれません。
街でスマホの地図アプリを使うとき、「いま、この頭の上には“みちびき”が飛んでいるのかも」と思いを巡らせてみるのも、宇宙をちょっと身近に感じるきっかけになるかもしれませんね。