こんにちは。
綾部です。
みなさんは「量子コンピューター」と聞くと、どんなものをイメージしますか?
私はもともと物理を専攻していたこともあり、「量子」という言葉にはついつい反応してしまうのですが、一般的には「ものすごく速いコンピューター」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
ところが最近、量子コンピューターの強みは「速さ」だけではないという興味深い研究が発表されています。
ポイントになるのが、AIでもおなじみの「機械学習」です。
今回は、量子コンピューターが大量のデータを扱う機械学習をどのように変える可能性があるのか、紹介したいと思います。
「量子コンピューター」で巨大なデータを小さく扱う?

機械学習では、文章や画像、遺伝子情報など、膨大なデータを扱うことがあります。
当然、データが巨大になるほど、それを保存して処理するための計算資源も必要になります。
一方、量子コンピューターを機械学習に利用しようとしても、「大量の普通のデータをどうやって量子コンピューターに読み込むのか」という大きな問題がありました。
そこで今回の研究で提案されたのが、大量のデータをすべて量子メモリに保存するのではなく、一つずつ読み込みながら、必要な特徴を量子状態に反映させていく方法です。
元のデータそのものを全部保存するのではなく、機械学習に必要な情報を少しずつ蓄積していくイメージでしょうか。
これによって、巨大な量子メモリを用意しなくても、大規模なデータを量子コンピューターで扱える可能性が見えてきたそうです。
参照:WIRED Japan「速さではなく、サイズで勝つ:量子コンピューターが機械学習に効く理由」(2026年9月11日時点)
「機械学習」で重要になるのは速さよりサイズ?

さらに面白いのが、今回注目されている量子コンピューターの強みが、計算の「速さ」ではなく「サイズ」にあることです。
研究では、映画レビューの感情分類や遺伝子に関するデータなどを使った検証で、同程度の予測性能を目指す場合、古典的なコンピューターと比べて必要な計算機のサイズを大幅に小さくできる可能性が示されました。
量子コンピューターというと、「スーパーコンピューターでも何年もかかる計算を一瞬で解く」といった速さに目が向きがちです。
しかし、巨大化し続けるデータを「どれだけ小さな計算資源で扱えるか」という方向にも、量子コンピューターならではの強みがあるということですね。
もちろん、現在のAIがすぐ量子コンピューターに置き換わるという話ではありません。
量子コンピューターにはノイズや誤り訂正など、実用化に向けてまだ多くの課題があります。
それでも、AIが扱うデータが今後さらに巨大になっていくなかで、「もっと速いコンピューターをつくる」だけではなく、「もっと小さな計算資源で巨大なデータを扱う」という考え方は面白いですよね。
量子コンピューターと機械学習。
この二つが本格的に組み合わさったとき、今では想像できないようなAIの使い方が生まれてくるかもしれないと思うと、ワクワクしますね。